コラボのこと


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十代の頃にやっていたバンドをやめてから誰かと音楽を作るということを全くしていなかった。勝手にリミックスを作ったり、リミックスを依頼されたりはあったけど、それは共同作業というより二つの個別作業でしかない。

 

1年ほど前からこの人といっしょに何かやりたいなと思っていた人が居て、ようやくそれが形になりそうだ。

最初はM3-2019秋で出したアルバムにピアノで参加してもらおうと企んでいたのだが、一人で完結すべきコンセプトを掲げていたので断念した。

M3秋のちょっと後、某オフ会ライブでお会いする機会があったのだが、持ち前の人見知りスキルが発動して殆ど何も話せなかった。

その後も、何ができるだろうかとか、どうしたらお互いの持ち味が引き出し合えるだろうか、果たしていっしょにやる意義はあるのか、などと考えていた。

ある日、その人がアップしたピアノによる即興を聴いた瞬間に「これだ!」と思った。身を委ねてギターを弾いていられるような心地よい響き。思うままにギターを重ねてみた。自分一人では開けられない引き出しが開いた感覚があり、こんな風にギターを弾けるのかという発見があった。くまひつじちゃんさんから反応があったのもうれしかった。 これも個別作業の積み重ねでしかないのかもしれないけど、一人で勝手にしっかりとした手応えを感じていた。

そもそもコラボって何だろうか。いっしょに音楽を作る行為は何なのだろうか。誰かの曲をリミックスするのも、作った曲のパートを誰かに生演奏に差し替えてもらうのも、誰かが作った曲を編曲するのも、全部コラボと言って差し支えない気もするけど、いっしょに何かを作るからには相互作用のような残るものがあった方がいい。お互い何か得るものがなかったらいっしょにやる意味なんてない。

などと考えていると足踏みしたまま先に進めないので思い立ったことはやってみることにした。こっちの一方的な手応えだとしても得られた方がいい。

何年も前に作ったままだった曲をその人といっしょにやることに決めた。快く引き受けていただき唄っていただけることになった。

歌唱音源を待っている間にこの記事を書き始めたのだがもう届いた。早い。

曲の世界を広げるようなぴったりな歌詞、唄声の持つ説得力、普段から詞を書いて唄っている人の力を痛感した。

長年大切に寝かせていたこの曲は今日この日のためにあったのだなと救われる思いで繰り返し聴いている。