「生きてあげようかな」は筋肉少女帯7枚目のアルバム『エリーゼのために』に収録されている、大槻ケンヂが自殺未遂を繰り返してしまう友人に向けて作った歌だ。
そのことは度々エッセイで言及されていて、彼女は「モケ子」だったり「ケメ子」として登場する。
この先厭なことが幾つも待ち受けているのに生きていかねばならないと思うから人生はつらい。しょうがないから生きてあげるか、ぐらいの態度で臨めば楽になるのではないか、というのが大槻がこの歌に込めた思いだ。
歌の中で自殺願望を抱えている少女は好きな本の間にカミソリを隠して街を歩く。とある理由から空に飛行機を探しながら。少女の恋する男は先立っていて既に天国に居る。下界を見下ろし少女を見守っている男には少女の頭しか見えない。少女が希望とともに空を見上げるときだけその瞳を見ることができる。
“だからなるだけ上を向いてお歩きなさい”
大槻はこの歌をモケ子さんに聴かせたものの彼女の自殺願望は止められなかったようで、その後も自殺未遂をしてしまったそうだ。
自分にも飛び降りる場所を探してうろうろしていた時期があった。大きな橋の欄干、高速道路上の歩道橋、駅前のビルの屋上などから身を乗り出して見下ろした風景は今もその時の感情といっしょに思い出してしまう。
だからなのか、この曲を聴くといまだに涙がぽろぽろと溢れてしまう。
オーケン、少なくとも俺は救われたよ。
内容には全然関係ないけど、武蔵野音大近くの中古屋でこのアルバムを買ったことを思い出した。