クリスマスにはクリスマス・アルバムを

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 何を季節外れのことをと突っ込まれそうだが、まさにそんな話だ。
 クリスマスにクリスマス・アルバムを発表する人は、夏にはその準備を始めている。旬に合わせて計画的に創作しようとすると結果的に時期外れに制作を進めることになる。親切に受け手側に寄り添っている行為だが、作っている当人には臨場感も何もあったものじゃない。中には前年の同時期に作っている人も居るのかもしれないが。
 今作のテーマは「春と雨」だ。それをスプリング・リバーブを介したエレクトリック・ギターのみで表現している。『Spring Rain Blue』というタイトルの「Spring」は、半分はスプリング・リバーブのことだ。「Blue」部分に特に意味はない。Blueは物憂げな気分を表すこともあれば晴れた空を指すこともある。雨に対する感情も人それぞれだし、雨模様だって様々だ。要は色々あるよね、ということ。あれ、ちゃんと意味はあった。
 このアルバムは2023年4月30日に行われる同人音楽即売会、M3に合わせて作っている。毎度のことだがいつもぎりぎりまで準備をしているので実際に春に録っているものを春に発表している。好運なことに収録期間に雨が降ることが多く、臨場感たっぷりに演奏できた。そしてM3当日も雨の予報、自分にとっては当たりだった。何故リリース当日の話がここでできるのかというと、このセルフライナーノーツが間に合わず、後日に書いているからだ。それだけに留まらず、録り終えたのが前日の未明、そのまま仕事に出て帰宅してからマスタリングを終え、アートワークを作り終えたのが当日の朝7時半、といういつにも増して間に合ってない状況だった。印刷し立てのほかほかの紙束を鞄に詰め、会場に到着してからジャケットを折り始めるという始末。表に押すはずだった落款を玄関に置き忘れるというおまけ付きだ。だからライナーノーツなし落款なしは初回限定盤ということになる。
 こんな制作裏のどたばたを書くつもりではなかったのだが、伝えたかったのは、春をテーマにした作品を実際に春に録りまだ春の内に頒布するという速度はM3のようなイベントならではということだ。鮮度って大事。昨年春のM3でリリースした『?』というアルバムに既にこの予告編が入れられていることから分かるように、今春になって慌てて準備した作品という訳ではない。春に作ったものを春に届けたかったからぎりぎりになってしまったというだけだ。

 

《この続きはCDに付属するライナーノーツでお楽しみいただけます》