パッチケーブル


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パッチケーブルは随分前からGeorge L'sの155。
他のケーブル類は黒が多いので判別しやすいように赤を選んでいる。
ソルダーレスな上に被覆を剥く必要もないので、ライヴの曲間に作り直せるくらいの手軽さがいい。
純正のプラグはジャケットが別途必要で高価なのでRAPのを使っている。ジャケットが要らないのもそうだが、L型でも純正のストレートと同じ手軽さで作れる。

George L's .155 Vintage Red
RAP RSP-1200L/4 Nickel
RAP RSP-1000S/4 Nickel

宅ロッカーにペダルボードは必要なのか?


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エフェクターボード投稿サイト
に投稿したので少し書いておく。

写真はライン録り用のセッティング。
ディレイ、リヴァーブはツマミをいじりながら弾くことが多いので手前に配置。
この前段にヴォリュウム・べダルとチューナーが繋いである。
見えないけど下の棚には常用以外のエフェクターがごろごろしている。

3年前のアルバム制作ではほぼアンプ直だったのに、ここのところ急激に増えているエフェクター類。
ライヴもないし持ち出すこともないのでループスイッチャーもペダルボードも必要ないと思っているが、スイッチャーがあればいちいち繋ぎ替えなくて済むし、ボードに収めれば管理が楽なのかなとも思う。

その時使いたい物を引っ張り出して使うスタイルなので、ボードに固定してしまうのに抵抗感がある。

理想の3色ボールペンを作る


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三菱スタイルフィットは様々なリフィルがあっていいのだが、いいホルダーがないのが悩みだった。

長年トンボのリポーター3色にスタイルフィットのリフィルを入れて使っていたのだが紛失してしまい、作り直そうとしたらリニューアルされたリポーターにスタイルフィットのリフィルが挿せなくなってしまっていた。まあ他社製の物に手を加えて使っていた自分が悪いのだが。

そこでスタイルフィット純正のマイスターというホルダー(画像上)を使ってみたのだが、回転繰り出し式は片手での使用がしにくい上に今どの色が出ているのか判別しにくく不満があった。

不満が残るまま使い続けるのはよくないので、結局仕事で使っていて馴染んでいるジェットストリーム3色(画像下)に入れることにした。
大掛かりな改造は不要で、スタイルフィットのリフィルを12mmほど切り落とすだけ。

因みに使っている色は
ブラウンブラック 0.38
ブルーブラック 0.38
マンダリンオレンジ 0.38
の3色。

ゲルインクは各社色々出しているが、スタイルフィットのは顔料系インクで滲みにくいのでおすすめ。

シグノのボルドーブラック、サラサのグレーなど、愛用しているゲルインクペンは他にもあるが、それはまた別の機会に。

DCPRG『アイアンマウンテン報告』最終日

2000年6月24日 吉祥寺スターパインズカフェ
DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN

『アイアンマウンテン報告』最終日

ライヴ前、俺はディスクユニオン吉祥寺店に居た。先日の東京ザヴィヌルバッハのライヴで菊地さんがCDJで回していたカルロ・アクティス・ダートの 『ウラルトゥ』を求めて。横浜中を廻って手に入らなかった物があっさり見つかる。菊地さんに訊くまでは、本人演奏によるCD-Rの自家プレイだと思い込ん でいた。当日CDJで回していて印象に残ったもう一枚はジェラルド・フレミー演奏による『ジョン・ケージプリペアド・ピアノのためのソナタ』。こっちは また次の機会に買うことにする。

スターパインズカフェに向かい列に並ぶ。GROOVE IDでお馴染みの人達の姿が見受けられたが、俺はそういう輪の中に入っていけない。今回のフライヤーをデザインした方も居たが、声をかけられない。前回の フライヤーもかっこよかったので感想を伝えたかったのだが。会場に入ると例の青いフライヤーが並んでいる。赤でデザインされたのに、印刷所にデータを入稿 したらエラーで青くなっていたという。菊地さんは訂正せずにそのまま印刷を依頼し、「ネットは赤、リアルは青、赤盤青盤みたい」と面白がっていた。

動員が増えたらスタンディングにしてダンス対応にするとのことだったが、椅子とテーブルは置かれたまま。

客電が落ち、いつものCDJによる「Hey boy, wait a minute」のループ。演奏が始まると同時に戦場になる。俺の脳内ではヘリコプターのプロペラ音が鳴り響いていた。映画『地獄の黙示録』冒頭の、回って いるシーリングファンが戦地のヘリコプターのプロペラへとすり替わっていくシーン。あれだ。

客席に背を向け、演奏者に手振りで指示を出している指揮官菊地成孔
大友良英の、視界が悪い中でひたすら銃弾をバラ撒いているようなギター・ソロ。

客席はクールそのもので、ゆったり座ってアイスコーヒーを飲んでいる人も。
ステージ上は戦場、客席はリゾート。なんてすてきな対比だ。最高。


初出:www.xiukj.tumblr.com (2013.1.8)

キーリング廻り

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キーリングを少々仕様変更した。

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今まで画像左のエスビナー#0に鍵やツールを繋いでエスビナー#3にまとめていたのだが、何かの拍子に外れてしまうことがあり、画像右の平型キーリングに換装することにした。
黒ニッケルメッキ。
メッキはクロームよりニッケルが好み。経年劣化していく具合がいい。

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これで意図的に外さない限りだいじょうぶだろう。

菊地成孔について その4

 理論コース受講希望者の皆様へ

 この度は受講を御希望頂き有り難う御座います。レッスンに関する詳細をお送り致しますので、受講を決定される場合、もしくは御質問等は追ってメールにて御返答下さい。受講を決定される方は、近日中(大体2週間後まで)の受講可能な日時を添えて下さい。速やかに御連絡致します。

     
        菊地成孔


 <日時、料金システム、場所について>

 1)マンツーマンで行います。

 2)1回のレッスンは最低1時間から最高4時間までとさせて頂きます。

 3)レッスン場所は東横線都立大学駅前スタジオ「リンキーディンク」(電話)xxxx-xxxx

 4)レッスンの日程は毎回レッスン終了時に打ち合わせの上、次回分を決定します。

 5)レッスンの開始時刻は、レッスン前日に御連絡します(レンタルスタジオという都合上予約を入れられるのが前日に成るためです。大雑把な時間帯は既決しておいた上で、正確な決定時刻を前日に連絡という形になりますの)

 6)レッスン料は1回1時間¥5000です。

 7)月謝制ではなく「毎回次回分を支払う」システムです(従ってレッスン初回のみ2回分のレッスン料を頂く形に成ります)。

 
 <内容について>


 ジャズ、ポップス、ロック等に対応した和声理論、作曲法、編曲法、アドリブの方法からソロコピーの分析、譜面の書法まで、また、中級者の方の実践的な疑問にお答えするなど、個々人の知識と能力に対応したカリキュラムを設定し、ニーズに合わせて御指導させて
頂きます。

 初回レッスンでは、カリキュラム作成用のカウンセリングとして、皆様の読譜力、及び理論知識の簡単なチェックを行い、2回目からを正式なレッスンとさせて頂きます。




 <初回レッスンに必要なもの>

 ・楽器(鍵盤楽器の方は結構です)

 ・五線紙、筆記具

 ・カリキュラム作成の参考にさせて頂くために、こういう演奏がしたい。とか
  ここがどうなっているかを知りたい。などの参考のソース(CDもしくはカセット
  で、DAT、MD及びアナログ盤不可)

 ・作曲作品がある方はその譜面と音源(同じくCDもしくはカセットで)

 ・レッスン料2回分(初回と次回分として)



以上、初回レッスン前に菊地成孔から届いたメールの内容だ。



補足として、当時の俺の機材を挙げておく。
フェルナンデスのエレキギター
マツオカのクラシックギター
ヤマハアップライトピアノ(母の所有物。実家だったので)。
タスカムの4トラック・カセットMTR
シャープの録音ができるポータブルMD。
アップルのマッキントッシュ・パフォーマ5440。
シンセ音源は持っておらず、フリーで配布されていたUNIX用のソフトウェア音源をマックで走らせていた。



先生は続ける。

「理論的に理解してなくても、感覚的に和声理論が身に付いてるっていうのかな、それがちゃんとしているところと、わざとかどうか判断できないけども、崩れているところが一曲の中で同居してたりする」

譜面を見ながらカセットテープの該当箇所を探し、指摘していく。

「ほら、ここのところはセブンスからトニックに行ってドミナントモーションが完結してるんだけれども、次のところだとセブンスに行くものの戻って来ないまま放ったらかし。ね? バッハの無伴奏チェロと体裁は似てるんだけども、どこかが違う。やりたいことは分かるんだけど、ちぐはぐで不安定。これはもう病症だね」

俺の曲を再生しながら先生は訊いてくる。

「今までどんな音楽聴いてきた? 持ってるジャズのアルバム挙げてみて」

ソニー・ロリンズの『サクソフォン・コロッサス』」

「はいはい。あれは名盤ですね」

「あと、エンリコ・ピエラヌンツィのロニー・キューバーのバリトン・サックスが凄いやつ」

「んー、あとは?」

「その二枚だけですね、ジャズは」

ロックバンドを続けようとしたが失敗したこと。コードを覚えたりスケール練習を積み重ねる度に自分の個性が失われるような気がして、いったん全部放棄したこと。結局行き詰まって理論を学び直そうと思ったこと。
そんな話をして最初のレッスンは終わった。

スタジオを出ると、次のレッスン生が待っていた。
後にデートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデンに参加することになる、ゴセッキーさんだった。


初出:xiukj.tumblr.com 2012.1.20

菊地成孔について その3

    サキソフォン&ジャズ理論の個人教授します(生徒募集のお知らせ)


     サキソフォンの演奏とジャズ理論(主に和声理論から、作曲、編曲
     アドリブコピーの分析等々)を個人教授致します。

     以下を最低限の条件とさせて頂きます。


     <サキソフォン

     サキソフォン(ソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン、バス)
     をお持ちか、または購入予定がある方。

     レッスン開始と共に購入を希望される方には御相談に乗らせて頂きます(楽器店
     の紹介、購入時の同行。等々)。

     *読譜能力は全く問いません。



     <ジャズ理論>

     以下の楽器から一つ以上演奏できること

     ピアノ(キーボード)、ギター、ベース、サキソフォン、トランペット
     フルート、トロンボーン
     (*尚、ギター、ベースはエレクトリック・アコースティック問わず、管
      楽器はサイズ問わず)

     楽譜、もしくはコード譜が読めること。


     以上、日本語、もしくは英語が話せれば、年齢・性別・職業・国籍・宗教
     人格その他一切問いません。

     初心者の方から上級者の方まで、能力と目標に応じてカリキュラムを作成し
     御指導させて頂きます。

     レッスン料金は1時間5000円、レッスン場所は東横線都立大学駅」前に
     なります。





以上、当時の菊地成孔の公式サイトに掲載されていた生徒募集のお知らせだ。


さて、スタジオに入り、最初のレッスンが始まる。

自己紹介を済ませ、俺は先生に自分の曲が詰まったカセットテープ(当時はMDが普及していたのだが、スタジオに再生装置がないのでカセット指定だった)と楽譜の束を渡す。
理論を教授するにあたって生徒の力量を把握するためなのだが、俺は「これから治療が始まるのだ」という気持ちだった。
先生は楽譜をパラパラ見ながら、

「もしかして音大?」と訊いてきた。

「違います。」俺は答える。

俺は自分の表現したいことを形にするために、音楽理論等は必要ないと思っていた。
だが、記譜法だけはきちんと習得していた。
先生が音大生と間違うくらい、譜面だけはきちんと書けていた。
必要だったからだ。
バンドを辞めてしまった俺には、ギターしかなかった。
シンセ音源もシーケンサーもなかった。
PCがあるにはあったが、当時の性能は低く、DAWなんて夢のような話だった。
自分の頭の中の音楽を形にするには、俺には楽譜を書くしかなかったのだ。
来る日も来る日も、俺は部屋にこもり楽譜を書いた。
五線の上でだけ、俺の音楽は鳴っていた。
自分では弾けない難解なピアノ曲弦楽四重奏、チェロとピアノのデュオ、チェロ独奏、ギター小品、ピアノ小品、サックス四重奏、木管五重奏、等々。
とにかく俺は頭の中のものを譜面に起こした。
五線上では俺の理想の音楽が奏でられていた。
来る日も来る日も、俺は五線紙の上に音符や記号やイタリア語を置いた。
そうすることで、俺は世界が変えられると思っていた。
俺なりの革命が起こせると信じていた。
世界に対して何らかの一撃は与えられるのではないか、と。
つまりはバカだったのだ。
気づいたら二年近くの月日が流れ、世界は相も変わらずそのままそこにあった。
俺は外に出ることを決意した。

カセットを再生し、先生はにこにこしながら譜面を捲る。
音符を追う目が時折真剣なものになる。
俺は緊張しながら見守る。
一通り音源を聴き楽譜に目を通し終え、一呼吸置いて先生は言った。

「おもしろい。実に興味深い。」

先生は実験中のハツカネズミを観察しているような表情になっていた。


初出:FC2『思考の頭陀袋』2010.11.26